<マンション管理士とは>

ここ2〜3年の間にマンションに関する法整備が着実に行われています。平成12年12月8日はマンション管理適正化の推進に関する法律(マン管法)が公布され13年8月1日より施行されました。そして同法に基づき国家資格であるマンション管理士・管理業務主任者の第1回目の試験が昨年12月に行われその登録を経てそれぞれ実際の活動が始まっています。また今年の秋口には基本法である区分所有法が改正される見通しです。つまりそれだけ実際問題としてマンションの各種の問題が顕在化し現行法等では対応しきれなくなってきており、しかもその対応は急を要するものということなのです。

そこでこのコーナーではマンション管理適正化の推進に関する法律(マン管法)の概要を説明する中でマンション管理士とは何かを説明していきたいと思います。

【1】マンション管理適正化の推進に関する法律(マン管法)

〔1〕背景

大都市圏を中心にして昭和40年代後半から概ね右肩上がりでその供給戸数を伸ばしてきたマンションは平成12年末には380万戸を超え居住人口も1000万人を超えるまでになりました。即ちほぼ10人に1人がマンションに居住をしている計算になります。その数は特に首都圏に集中しており、今後もこ首都圏における需要と供給の増加傾向は顕著であるといえるでしょう。居住形態の一つとしてその重要性はますます大きくなってきています。マンションストックという側面から見るとマンションの良好な居住環境を確保するということは今後ますます不可欠な要素となってまいります。

「良好な居住環境の確保」と一口にいっても、これはなかなか難しい。何故ならマンションには様々な法律的・技術的要素がクロスオーバーしている為にそれら専門的な要素を一つ一つクリアして初めて総体として「良好な居住環境」が確保できたと言えるからです。角度を変えて言えば「良好な居住環境の確保」をする為にはそのクロスオーバーする様々な要素を「適正に管理」することが必要と言うことです。

いまマンションには様々な法律的・技術的要素がクロスオーバーしていると述べましたが具体的には以下の通りです。

・法律的な側面から見るとマンションには以下の通りの法律が関連してきます。

(1)建物の区分所有に関する法律(区分所有法)→標準管理規約

(2)マンションの権利等に関する法律

民法、不動産登記法、借地借家法、宅地建物取引業法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、等

(3)マンションの維持管理に関する法律

供給施設関係
電気事業法、ガス事業法、水道法、下水道法、浄化槽法、消防法、建築基準法(維持保全)
その他の法律
自動車の保管場所確保等に関する法律、郵便法、警備業法

(4)マンションの増改築等に関する法律

都市計画法、建築基準法、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法、建物の耐震改修の促進に関する法律、被災市街地復興特別措置法

・技術的な側面から見ると以下の通りの事項が関連してきます。

(1)マンションの構造・設備関係に関する事項

長期修繕計画に関する事項
建物・設備の診断
大規模修繕工事

(2)管理組合の運営に関する事項

管理組合の組織と業務
管理組合の運営
管理組合の会計・税務・保険
管理組合の業務委託

これだけ専門的で多岐に渡った法律的及び技術的側面がマンションにはあり、それらに付き大きな事から小さなことまで対処せざるおえず、区分所有者の自己判断ではなかなか難しい場合が多々あり、適性な管理に苦しむ場合が多いということです。そうゆう意味で管理組合の方々、管理者の任にある方々の御苦労は大変なものであるということです。管理組合の業務委託

この「適正な管理」が居住者の生活の安定につながり、更には周辺地域の良好な住環境にもつながってまいります。つまり「適正な管理」ということは、もはやそのマンションだけの問題ではなく周辺地域の問題でもあるといえます。上述の通り現にストックとしてこれだけマンション数が存在し更に増加していくとなると「良好な居住環境確保のためのマンション管理の適正化の推進」の制度化はもはや社会的要請でもあるわけです。

そこで管理組合が「適正な管理」ができるように国がバックアップする体制を法制度化したのが平成13年8月1日に施行された「マンション管理の適正化の推進に関する法律」(いわゆるマン管法)なのです。

〔2〕概要

マン管法の概要を端的に説明しているのが下図です。


マンション管理適正化法/マンション管理適正化研究会編著(大成出版社)より

(1)マンション管理士

同法第2条第5項によればマンション管理士とは「専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの区分所有者の相談に応じ、助言、指導、その他の援助を行うことを業務とする」国家資格を有する者ということになります。

(2)マンション管理士の制度的特徴

−マンション管理適正化推進センターの業務を通して見えてくること−

1.

a. マンション管理士に相談または業務を依頼しようと考えている管理組合の管理者等・区分所有者が、自分達のニーズ適合する管理士を容易に探し出せるようにマンション管理適正化推進センター(財団法人マンシン管理センター)がマンション管理士の詳細情報をインターネットで無料で提供できる情報提供システムを構築した。このシステムは平成14年6月28日午後1時より稼動し始めている。

b.地方公共団体において管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等からマンション管理士の詳細除法に関する相談を受けた場合、上記情報提供システムの有効利用が図られるよう地方公共団体に対してその周知徹底が図られた(このシステムが各地方公共団体にダウンロードされている)。

a.b.を図式化したものが以下の通りである。


マンション管理士活用方策検討会報告書/国土交通省住宅局

マン管法の概略図と上記の図を比較すると、法文上(特に法92条第6項「マンション管理の適正化の推進に資する啓発活動及び広報活動」)抽象的に記載されている事項がマンション管理士の情報検索機能という形で具現化されているのである。

2.

マン管法がマンション管理適正化の推進を図る為にマンション管理士を支援する体制をとっているということである。士と付く職業、例えば弁護士、建築士等に付いての法律;いわゆるこれまでのサムライ法にはこのようなことはなかったことからすると異例である。しかしこれはマンション管理士を法的に優遇しているということではなく、士と付く職業である以上は己の能力を駆使して実績を上げ信頼を勝ち取っていくという点においては変わりない。このような位置付けとした趣旨は、マンション管理士制度をできる限り早期に定着させてマンション管理適正化の大きなツールとし、一刻も早く管理適正化の推進を図りたいとする国の意図が存在することである。

つまりマンション問題は其れほどこれから重要な問題となるということである。